相続人の不存在について③

前回,相続人の不存在の場合の手続について,相続財産法人の成立から相続財産管理人の選任及び公告までを説明しました。

今回は,手続の途中で相続人が存在すると明らかにならなかったことを前提に,その後の手続の流れについて説明します。

 

(1)権利申出の公告(民法957条)について

相続財産管理人の選任がなされた後,その広告の日から2か月以内に相続人の存在が明らかとならなかった場合には,相続財産管理人は,相続債権者及び受遺者全員に対し,2か月以上の申出期間を定め,債権の申出をすべきとの公告を行います。

この期間内に債権の申出を行わなかった場合,申出期間満了後,相続財産から配当弁済を受ける際に,申出をした債権者や受遺者に劣後するなどの不利益が生じます。

 

(2)相続人捜索の公告(民法958条)について

権利申出の公告の申出期間満了後,なおも相続人の存在が明らかにならない場合,家庭裁判所は,相続財産管理人または検察官の請求により,6か月以上の期間を定め,相続人がいれば期間内にその権利の主張をすべきとの公告を行います。

これを相続人捜索の公告といいます。

相続人捜索の公告期間を満了してもなお相続人の存在が明らかとならない場合には,相続人が不存在であることが確定します。

ここにいう相続人の存在が明らかにならない場合には,相続人として名乗りを上げるものがあらわれなかった場合の他,相続人が現れても相続を承認しなかった場合なども含まれます。 

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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