債務名義について

債権回収において、債権を有していても相手方が任意に支払わない場合には、最終的に強制執行の手続を経て回収を実現することになります。実際に強制執行をするためには、債務名義が必要となりますので、債務名義について説明します。

1 債務名義とは

債権者が債務者に請求することができる債権を有していたとしても、債務者が自発的に債務の履行をしない場合、債権者は、法律が定めた国家機関の強制力を活用し、強制的にその債権の回収をするほかないということになります。

この場合、その債権が本当に法的に有効な債権であると国家機関が認定したものでなければなりません。

そこで、強制執行を行うためには、一定の私法上の請求権が存在することを公証する文書である「債務名義」が必要となります。

2 債務名義の種類と取得方法

債務名義の種類としては、代表的なものとして以下のものがあります。

(1) 確定判決

債権者が訴訟を提起し、勝訴判決を得たのち、上訴裁判所によって取り消される余地のなくなった判決をいいます。
債務名義としての確定判決を取得するには、債権者が裁判所に訴訟を提起して認容判決を得る必要がありますが、さらに、当事者が当該判決に対して控訴、上告・上告受理申立をせず、控訴期間や上告期間が経過したときに確定判決となります。

(2) 仮執行宣言付判決

仮執行宣言付判決は、未確定の判決に、即時に執行力を与える宣言をいい、具体的には判決の主文に「この判決は仮に執行することができる」と表示されたものをいいます。
取得方法については債権者が裁判所に訴訟を提起する点で上記1.と同様ですが、この仮執行宣言付判決を得るためには、訴状において仮執行の宣言を求める申立てをしておくことが通常です。

(3) 仮執行宣言付きの支払督促

金銭その他の代替物、または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより簡易裁判所の書記官は支払督促を発することができるという制度があります。
これに仮執行宣言が付されることにより債務名義となります。
支払督促は、通常の訴訟手続によらないで確定判決と同様の効力を持つ債務名義を取得することができますが、相手方が異議を申し立てると通常の訴訟手続に移行します。

(4) 執行証書

執行証書とは公証人が作成した公正証書で、1.公証人が正規の手続に基づき作成した証書であること、2.金銭の支払またはその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求権であること、3.債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている要件を満たすものが、債務名義となります。
執行証書は、当事者(債権者と債務者)が公証役場に出頭して、公証人により作成されます。

(5) 確定判決と同一の効力を有するもの

民事訴訟法等により、確定判決と同一の効力を有するものと規定され、強制執行になじむ特定の給付請求権を表示するものは、債務名義となります。
取得方法は様々ですが、例えば、裁判上の和解における和解調書、民事調停における調停調書、訴訟における請求の認諾調書などがあります。