差押禁止財産について

判決等で支払いが命じられても金銭支払いに応じない債務者に対しては、その財産を差し押さえて、強制的に債権回収を図ることができます。
もっとも、債務者にも生活があるので、生活を営む上で必要不可欠な財産、必要最小限の財産等につては、差押えが禁止されています。
このような財産を「差押禁止財産」といい、民事執行法やその他法律で規定されています。具体例は次のとおりです。

1 差押禁止動産

  • 債務者等の生活に欠くことのできない衣類、寝具、家具、台所用品、畳、建具
  • 債務者の1か月間の生活に必要な食糧及び燃料
  • 標準的な世帯の2か月分の生活費を勘案して政令で定める額の金銭(具体的には66万円までの現金)
  • 債務者の職業に欠くことのできない物(農家であれば農具・肥料・家畜・飼料・次の収穫まで必要不可欠な種や農作物等、漁業であれば水産物の採捕や養殖に欠くことのできない漁具・餌・稚魚等、その他技術者や職人であればその業務に不可欠な器具等)
  • 実印その他の印で職業又は生活に欠くことのできない物
  • 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことのできない物
  • 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
  • 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表彰する物
  • 債務者等の学校その他教育施設における学習に必要な書類および器具
  • 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
  • 債務者に必要な義手、義足その他身体の補足に供する物
  • 建物その他工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械または器具、避難器具その他の備品

2 差押禁止債権

給与、退職金等

原則として、4分の1相当額(一般に手取額を基準にします)しか差押えできません。

その他差押禁止債権

公的給付には、年金、生活保護費等、差押えが禁止されているものもあります。

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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