遺産分割の方法

遺産分割には、次の三通りの方法があります。

1 遺産分割方法の指定(民法第908条)

(1)被相続人は、遺言によって遺産分割の方法を指定することができます。また、遺産分割の方法を定めることを第三者に委託すること、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて分割を禁ずることも可能です。

(2)遺言によって遺産分割方法を指定する場合の具体例を挙げておきます。

ア 純粋に遺産分割方法を指定するもの

例えば、被相続人Xが5000万円の財産を残して死亡し、相続人が嫡出子のABだったとします。Xは、2000万円の甲土地を持っており、遺言によって、「Aに甲土地を分割する」と指定している場合です。

この場合、「Aには甲土地しか分割しない」という特別な意思表示がない限り、Aの相続分2500万円は変更されず、その2500万円の取り分の2000万円分として甲土地を与えるという趣旨に考えられます。

土地の他に預貯金などの財産がある中で、2000万円分の土地をAに与えるという遺産分割の方法を指定した遺言ということになります。

イ 相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定

上記アとは異なり、Xには、3000万円の乙土地があり、遺言によって、「Aに乙土地を分割する」と指定した場合はどうでしょうか。

この場合、Aの本来の相続分(法定相続分)は2500万円ですが、Xは、その額を超える財産をAに分割する指定をしたことになります。これは、単に遺産分割の方法を指定しただけではなく、Aの相続分を変更した上での遺産分割方法の指定ですので、上記アと区別して「相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定」と言われています。

2 遺産分割協議

(1)相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合(908条)を除き、協議によって遺産分割を行うことができます。被相続人の遺言がない場合はもちろんのこと、遺言があっても、遺言において指定されていない部分についての協議をすることもありますし、遺言によって指定された遺産分割方法と異なる分割方法を協議することもできます。

(2)分割の具体的方法としては以下のようなものがあります。

ア 現物分割

財産の現物そのものを分割する方法です。

例えば、被相続人Xの財産として甲土地、乙土地の不動産が2筆ある場合、(1)それぞれ分筆して相続人A、Bで分け合ったり、(2)甲、乙ともA、Bの共有不動産としたり、あるいは、(3)甲土地をA、乙土地をBに分割するという方法です。(3)の場合は、財産ごとに分け合う形ですので、特に「個別配分」と言うこともあります。

イ 換価分割

財産を金銭に換えて分割する方法です。

甲土地、乙土地ともに第三者に売却し、その売却利益をABで分け合うというのがこれに当たります。

ウ 代償分割

ある相続人が特定の財産を現物で取得する代わりに、他の相続人に対してその相続分に応じた金銭を支払う方法です。

例えば、Aが甲土地、乙土地ともに取得し、Bに対して、両不動産の評価額の半分を支払ということになります。

3 審判による分割

審判分割は、共同相続人の協議が調わない場合に、家庭裁判所において、具体的相続分を基準とし審判で分割する方法です(907条2項)。

通常、審判手続きに先立って調停による分割が試みられることが多いですが、調停でも不調に終わると審判の手続きに移行することになります。

 

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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