交通事故用語集1

素因減額とは

素因減額とは、交通事故の損害賠償などにおいて、事故前から被害者に既往症(※過去にかかったことのある病気や外傷などのこと)があり、また、身体的要因や心因的要因などの「素因」が、事故による損害に寄与し、拡大しているような場合に、加害者が賠償すべき損害賠償額を減額することをいいます。

危険運転致死傷罪とは

  • アルコールや薬物の影響によって正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる場合、
  • 進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる場合、
  • その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる場合、
  • 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転した場合、

赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転した場合などの危険な運転で人を負傷または死亡させた場合に適用される罪のことをいいます。
危険運転致死傷罪は、刑法208 条の2 により、人を負傷させたときは15年以下の懲役、死亡させたときは1年以上の懲役に処せられる場合があると規定されています。

共同不法行為とは

共同不法行為とは、複数の人間が共同して一つの不法行為を行う事をいいます。
交通事故の場合、例えば2 台以上の車が関与する事故で同乗者や歩行者に損害を与えたような場合などがこれにあたります。この場合加害者は被害者に与えた損害の全部を連帯して賠償する責任があります。

民法719 条に規定されています。

RSD(反射性交感神経ジストロフィー・反射性交感神経萎縮症)とは

RSD(Reflex Sympathetic Dystrophy)とは、
反射性交感神経ジストロフィー・反射性交感神経萎縮症と呼ばれており神経因性疼痛の代表的なものです。
交通事故等で外傷を受けると、それが原因で発症する疼痛です。

これに似た症状で、カウザルギーと呼ばれる傷病がありますが、
主に、交感神経の影響が強い症状をRSD と判別し、それ以外の症状をカウザルギーとしています。
これらを総称してCRPS(Complex Regional Pain Syndrome)と呼びます。

休業損害とは

休業損害とは、自動車事故により被害者がケガを理由として休業した、又は有給休暇を使用した場合に発生する損害(収入減少した損害)です。
休業損害を請求するには、収入の減少を証明する書類を提出する必要があります。
主婦などの家事従事者の方がケガのために家事をできなかった期間についても認められる場合があります。

ADR とは

ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、法的なトラブルを訴訟手続によらずに解決する方法です。
例えば、交通事故に関するものとして、公益財団法日弁連交通事故センター、弁護士会仲裁センター、公益財団法人交通事故紛争処理センター、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構等、様々なものがあります。

好意同乗(無償同乗)とは

好意同乗(無償同乗)とは、一般的に運転者が、好意によりもしくは無償で他人を自動車に同乗させる事を言います。

交通事故によって好意同乗をしている者が負傷した場合には、運転者に対して損害賠償請求ができますが、 同乗していた被害者に落ち度がある場合などには、総損害額について減額されたり、慰謝料についてのみ減額されることもあります。

実況見分調書とは

実況見分調書とは、実況見分の結果を書面にしたものが実況見分調書です。
人身事故の場合、警察は刑事事件として事故がどのようにして起こったかを明らかにするために、事故直後に現場検証を行います。

実況見分調書には、見分日時、見分場所、立会人、現場道路の状況、運転車両の状況、その他見分状況、立会人の指示説明、補助者等が記載されています。
実況見分調書は、警察が作成する書類ですので、主に刑事事件のために利用される場合が多いですが、示談交渉や民事裁判においても、双方の過失の割合を判断するに当たって重要な証拠となります。

症状固定とは

症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が見込めず、回復・憎悪がなくなったと判断される状態になった場合の事を言います。
(例えば、リハビリによって症状が一時的に回復したとしても、すぐに元の状態に戻り、症状が繰り返されている場合でも、これに含まれます)
交通事故で負傷したうち、症状固定後に残った症状は、等級認定を受けることにより、後遺障害として傷害部分とは別に損害賠償の対象となります。

症状固定と判断されたら、担当の医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級認定の手続きを行うことになります。症状固定の時期や判断などは賠償額にも大きく影響しますので、後遺障害診断書を作成する前に弁護士に相談することをおすすめします。

低髄液圧症候群とは

低髄液圧症候群は、交通事故による鞭打ち症やその他外傷により、脳脊髄液が漏れ、髄液圧が低下するために様々の症状が発生します。
髄液が減少、漏れる量が多くなると、髄液量が少なくなり、脳や脊髄が下がります。
髄液は脳室およびクモ膜下腔を囲む空間(脳は髄液により、浮いている状態となり衝撃から守られている)を満たす液体で、脳脊髄を保護する役割があります。
髄液圧が減少すると、脳神経・脳の血管・頭蓋底の硬膜が刺激され、頭痛や目まい、集中力低下など、様々の症状が発生します。

 

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この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 河本智子(第二東京弁護士会所属)
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