人身傷害補償保険について

1 はじめに

現代社会において車はほぼ必須の交通手段であり、車を運転する限り、どんなに注意していても交通事故に遭うリスクを負うことになります。

そこで、そのような場合に備えて交通事故損害賠償保険に加入しておくことは非常に重要です。この交通事故損害賠償保険には、意外とたくさんの種類があり、正確に理解している方は少ないでしょう。

そこで今回は、交通事故損害賠償保険の中でも任意保険の人身傷害補償保険について解説します。

2 人身傷害補償保険とは

人身傷害補償保険とは、任意保険のうちでも自分の側に発生した人身損害を補填するための保険です。

交通事故損害賠償保険には、強制加入の自賠責保険がありますが、これは相手方に発生した人身損害しか填補されませんし、任意保険の対人賠償責任保険でも、やはり相手方に発生した人身損害しか補償されません。

よって、交通事故で自分の側に発生した人身損害について補償を受けるためには、この人身傷害補償保険に加入しておく必要があります。

3 人身傷害補償保険に加入するメリット

では、この人身傷害補償保険に加入するメリットとしては、どのようなものがあるのでしょうか。

まず、人身傷害補償保険に加入していると、相手方との示談が成立する前であっても自分の保険会社から保険金を受け取ることができます。示談交渉には数ヶ月から1年以上もかかることがあります。

人身傷害補償保険により、早期に保険金を受け取ることができると、お金の心配をせずに治療に専念したり生活費の補填もできますので、大きなメリットになります。

また、人身傷害補償保険では、自分の側に過失があっても、その過失割合とは無関係に保険金を受け取れるというメリットもあります。

相手方に請求する損害賠償については、自分の側の過失分については減額されますので、自分の過失に無関係に保険金を受け取れる人身傷害補償保険には大きなメリットがあると言えます。

さらに、人身傷害補償保険の補償範囲はとても広いです。

契約車両に乗車している人ならその全員が補償対象になりますし、被保険者の家族であれば契約車両以外の車に乗っているときに起きた事故や、さらには歩行中や自転車に乗っているときに遭遇した事故などについても補償されることが多いです。

そして、人身傷害補償保険では、自分の不注意でガードレールにぶつかった場合など、相手方がない事故であっても補償対象になります。

このように、人身傷害補償保険の補償範囲はとても広いので、この点も大きなメリットであると言えるでしょう。

4 人身傷害補償保険には加入しておくべき

以上のように、人身傷害補償保険に加入しておくと、自賠責保険や対人賠償責任保険ではカバーできない広い損害について補償されます。

ですので、余裕があるなら、是非ともこの人身傷害補償保険には加入しておくべきであると言えるでしょう。

5 まとめ

以上、任意保険の中でも人身傷害補償保険について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

人身傷害補償保険では自賠責やその他の保険ではカバーされない広い範囲の損害が補償されます。

余裕があれば是非とも加入しておきたい保険であると言えるでしょう。

 

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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