家事従事者の休業損害について3

前回の記事では、家事従事者の休業損害日額の算出方法についてご説明しました。
今回は、家事従事者の休業損害は、どの程度の期間認められるのかについてご説明します。

交通事故の被害者は、通常、事故による受傷後、症状固定に至るまでの間、入院ないし通院を継続し、医療機関での治療やリハビリを受けます。

それでは、家事従事者の休業損害は、交通事故により受傷した日から症状固定日までの全期間(以下「総治療期間」といいます。)について発生するのでしょうか。

この点については、いくつかの考え方がありますが、今回は、総治療期間全体を通して休業損害が発生するという考え方をご紹介します。

これは、けがによる痛みやしびれ等の症状により家事労働に支障をきたすものであり、通院等の有無にかかわらず、休業損害が発生しているという考えによります。

被害者側としては、まずはこちらの考え方に基づいて休業損害の主張を行うことが考えられます。

もっとも、治療を継続していくことで痛みやしびれ等の症状は和らいでいきますので、治療を継続し、時間が経過するとともに、上記症状が家事労働に及ぼす影響も徐々に減少していくのが通常です。

そのため、傷害の態様や治療状況等にかんがみ、事故による受傷や治療による労働能力の喪失の程度を考慮し、最終的な休業損害額を算出することとなります。

裁判・実務においても、総治療期間分につき100%の休業損害が認められるとは限りません。

(計算式)
収入日額×総治療期間×労働能力の喪失の程度(%)

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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