無職者の休業損害2

前回の記事では,無職者にも例外的に休業損害が認められる場合があることを説明しました。
今回の記事では,どのような場合に無職者に休業損害が認められるかについて説明いたします。

たとえば,学生が交通事故の被害に遭い,事故後に就職活動を行えなかった,事故により留年して就職が遅れたなどの事情がある場合,交通事故の被害に遭わなければ得られたであろう収入につき,休業損害として認定されることがあります。

この場合,休業損害額をどのように考えるのでしょうか。
過去の裁判例を見ると,賃金センサスをもとに休業損害額を算出しているものが多くみられます。賃金センサスとは,賃金構造基本統計調査のことをいい,休業損害や逸失利益の額を算出する際に用いる平均賃金の算定根拠となります。

このほか,就職が内定していたにもかかわらず,事故による受傷が原因で内定を取り消された場合に,内定先が開示した給与推定額をもとに休業損害額を算出したものもあります(名古屋地判平14.9.20)。

休業損害の有無及び休業損害額については,加害者側との間で争点となりやすいところですので,ご不明点等ございましたら,お気軽にご相談ください。

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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