無職者の休業損害3

前回の記事では,無職者の休業損害について,交通事故の被害に遭う以前から収入がない以上,交通事故の被害に遭ったことによって減収が生じたとはいえず,無職者の休業損害は認められないのが原則となることを説明しました。

今回は,例外的に無職者に休業損害が認められるのはどのような場合かについてご説明いたします。

無職者といえども,すでに就職が内定していたにも関わらず,事故による受傷が原因で就労の開始が遅れてしまった等の事情があれば,本来,就労を開始する予定となっていた日から,就労が可能となった日までの間の休業損害が認められることがあります。

また,資本主義社会においては,収入が全くない状態で長期間生計を維持することは極めて困難です。
そのため,治療期間が相当長期に及んだ場合には,就職が内定していた等の事情がなかったとしても,当該被害者の年齢,過去の就業状況,保有する資格等を考慮し,一定程度の休業損害の発生を認めることもあります。

次回は,無職者の休業損害額をどのように算定するかについてご説明いたします。
 

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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