寄与分が認められた例と認められなかった例について

はじめに

相続が起こったとき、特に有効な遺言がない場合には通常法定相続分に従って相続財産を分けることになります。

しかし、相続人のうち一部の人が、相続財産の増加や維持に特に貢献していた場合などには、法定相続分だけに従うと不公平になります。そこで法律は、「寄与分」を認めています。

寄与分は、具体的にどのような場合に認められ、また認められなないものなのでしょうか。

今回は、寄与分が認められた例と認められなかった例をご紹介します。

1 寄与分の類型

寄与分は、その形態によっていくつかの類型に分けられます。代表的なものが以下の3つです。

一つ目は労務提供型です。これは、相続人が、被相続人の事業を手伝うなどして、相続財産の維持や増加に貢献した場合です。

二つ目は財産出資、管理型です。これは、相続人が被相続人に財産を出資したり借金の返済を肩代わりしてあげた場合や、被相続人の財産を管理してあげていた場合などです。

三つ目は療養看護、扶養型です。これは、被相続人が要介護状態の場合に、相続人が献身的に被相続人を介護したことにより介護費用の支払いを免れた場合などです。

2 寄与分が認められた例

次に、寄与分が認められた具体的な事例を見てみましょう。

(1)1977年福岡高裁

46年間の長期にわたって家業の農業に従事し、農地を取得したり維持することに貢献した相続人(妻)と、27年間にわたって報酬なしに家業に従事してきた相続人(長男)に対し、妻に30%、長男に10%の寄与分が認められました。(労務提供型)

(2)1986年盛岡家裁

被相続人が重い痴呆症を患っていた事案において、10年間にわたって被相続人を介護してきた相続人に対し、1213万円の寄与分が認められました。(療養看護・扶養型)

(3)昭和59年和歌山家庭裁判所

夫が被相続人、妻が相続人のケースで、二人の収入によって不動産(宅地建物)を購入した事案で、妻に82.3%の寄与分が認められました。(財産出資型・管理型)

(4)平成8年高松家庭裁判所

被相続人の創業にかかる株式会社が経営危機に陥った際、相続人が資金援助したケースにおいて、被相続人の遺産の20%が寄与分として認められました。(財産出資・管理型))

3 寄与分が認められなかった例

(1)1974年仙台家裁

既に生前贈与によって財産が増加していた相続人が、約7年間家業の農業に従事してきましたが、その間に特に相続財産が増加しなかった場合において、寄与分が認められませんでした。(労務提供型)

(2)平成19年大阪家庭裁判所

被相続人の資産を株式や投資信託によって運用し、遺産を増加させたとして相続人が寄与分を主張しましたがし、資産運用は損失のリスクを伴うことなどを理由として「特別の寄与」とは言えないと判断し、寄与分が認められませんでした。(財産管理型)

(3)昭和48年高松高裁

相続人(妻)が夫である被相続人の死亡後「夫の事業である船具業を発展させて事業の成功に貢献した」と主張した事案において、夫婦間の協力義務の範囲内であると判断され、寄与分が認められませんでした。(労務提供型)

(4)平成18年大阪家庭裁判所堺支部

被相続人と長年同居してきた相続人が、約2年間の間被相続人の入院時の世話や通院付添などをしていた事案において、「同居親族の通常の相互扶助の範囲を超えるものではない」として、寄与分が認められませんでした。(療養介護型)

まとめ

寄与分には労務提供型や財産出資型、介護型などの類型があります。それぞれにおいて寄与分が認められるのは「特別の寄与」がある必要があります。認められた例と認められなかった例をいくつかご紹介しましたので、参考にしてみてください。