相続の承認について

相続と言えば、積極財産も消極財産(債務)も問わず一切の相続財産の承継が原則ですが、この原則としての無限の承継(単純承認)の他にも、「限定承認」「相続放棄」という方法が選択できます。私的自治の原則に基づき、相続人が、相続財産を承継するか否かを自由に選択できるようになっています。

ここでは、相続の承認についてご説明いたします。

1承認の種類

相続の承認には、「単純承認」と「限定承認」の二通りの方法があります。

「単純承認」をした場合には、当然承継の原則どおりに、相続人はその相続分に応じて、相続財産を「無限に」承継します(民法第920条)。無限の承継ですので、積極財産も消極財産も全面的に承継します。例えば、相続財産のうち、消極財産が積極財産より多い場合でも、相続人は自己の財産をもって相続債権者にその債務を弁済しなければならないということになります。

他方、「限定承認」とは、「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して」承認することです(民法第922条)。この場合、単純承認と同様に、相続人がその相続分に応じて相続財産を全て承継しますが、相続債務については、相続した積極財産の限度においてのみ責任を負います。そのため、上記の例のように、消極財産が多い場合に自己の財産で弁済しなければならないということにはなりません。

消極財産が多い場合には、「相続の放棄」をしてしまえばよいのですが、相続の放棄には期限があるため、相続財産が債務超過かどうかも不明で決めかねると言う場合に、この「限定承認」が有効な方法です。

2承認の方法

(1)単純承認

単純承認は、意思表示による場合と、一定の事由が存在するために単純承認したものとみなされる場合(法定単純承認)があります。

法定単純承認(民法第921条)とは、

  1. 相続人が相続財産を処分した場合(同条1号)
  2. 民法第915条第1項に定められた熟慮期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかった場合(同条2号)
  3. 限定承認や相続の放棄をした後でも、相続人が相続財産を隠匿したり、ひそかに消費したり、悪意で相続財産の目録に記載しなかった場合(同条3号)

に、単純承認したものとみなされることです。

(2)限定承認

限定承認は、単純承認や相続の放棄と異なり、相続人全員が共同して行う必要があります(民法第923条)。

その上で、民法第915条第1項で定められる熟慮期間内に、相続財産の目録を作成し、これを家庭裁判所に提出して、限定承認する旨を申述する(民法第924条)という方法で行います。